2021.11.24 トピックス 【法学部】基礎演習での講演~企業法務の仕事 福田円香さん? 教育?研究


 法学部1年生の基礎演習では、自らのキャリアについて考えることで、学生の皆さんが将来の目標を明確にし、目的意識をもって学修をすすめられるよう、様々な業界で活躍されている方々をお招きし、講演していただきます。



「攻め」と「守り」の法務

 11月2日(火)は、テレビCM等の「DMM.com」でおなじみのDMMのグループ企業である合同会社DGホールディングスの法務部に勤務されている福田円香さんをお招きし、企業法務の仕事についてお話しいただきました。

 DGホールディングスは、DMMグループの管理部門を担う会社です。最初に会社概要を動画で紹介いただき、金融業、エンターテインメント業はもちろん、教育業、消防車や救急車の受注など17領域58事業を展開されていることを説明してくださいました。中には学生もよく知っているものもあり、事業の多さに感嘆の声も上がっていました。
 では、法務部門とは一体何か? 守秘義務があるため、具体的な事例は紹介できないことが多いそうですが、学生たちが身近に感じられる例として、アパートを借りる際の賃貸契約書や、ゲームやアプリを使用する際の「同意する」ボタンでお馴染みの「利用規約」を例にしつつ、取引の背景や様々な条件等を正確に把握し、自社の置かれた状況を考慮して契約書の作成等を行っていることを説明していただきました。

 福田さんは企業法務の仕事について、ビジネスが暗礁に乗り上げたとき、事業部と一緒に打開策を模索していく一種のゲーム感覚のような面白さと、困った人を助けられるというやりがいを感じられると言います。さらに、企業法務の役割として、福田さんは「守り」の法務と、「攻め」の法務の両側面があると仰っておられました。「守り」の法務だけでなく、ビジネスを後押しできるような「攻め」の法務を行うには、幅広い法知識と、事業部門との日常的なコミュニケーションが必要だと。コロナ禍で友だちを作る機会が失われてきた学生の皆さんにも、大学では学びとともに、クラブやサークルなどでのコミュニケーションもしっかりと身につけて欲しいですね。


 
狭き門でもチャレンジあるのみ

 福田さんは大学院の修士課程修了時、法学の知識が活かせる職業は何かを考える中で企業法務の仕事に出会ったそうです。様々な法律の知識が必要とされ、実践を通して学ぶことができ、さらに、ITの分野は法整備が追いついていない部分があることから、福田さんの考える「攻め」の法務のニーズがあるのではないかと考えたそうです。
 ところが、法務部門の募集に限定した新卒の求人は多くありませんでした。しかし、求人がないからといって諦めなかった福田さんは、一般の新卒採用の窓口や気になる会社に直談判するという思い切った行動に出ます。その熱意と内容が評価され、採用に至ったそうです。
 目的や問題意識を、熱意を持って相手に伝えることで拓ける道もあることに、多くの学生が驚いた表情を浮かべ、終了後に「具体的にどんなことを伝えたのか」など、質問が寄せられていました。

 「法務部として学生時代にやっておけばよかったと思う点」を聞かれた福田さんの答えは、「流行や様々なアプリサービス、世の中の流れなどにもっと興味を持っておけばよかった」ということ。利益を生み出す仕組みを知っておけば、仕事への理解が早かったのではないかと仰っておられました。今、大学で学ぶ学生の皆さんにも、常に世の中の動きにアンテナを張り、チャレンジ精神を持って社会に挑んでいただきたいですね。
 急速な発展を遂げている高度情報化社会。これからの新たなテクノロジーの発展と共に、あらゆるビジネスの現場の判例なき世界に、大学で学んだ法知識とコミュニケーション力を武器に挑む本学の学生たちの姿がそこにあることを願います。



 次回は、法務省大阪矯正管区総務課庶務係長の福島克博氏をお招きし、「刑務官の職務内容」について講演していただきます。