2022.03.10 トピックス ウクライナ人留学生の入国-戦争、そして、8,000kmの道のりを越えて- 学生生活 教育?研究 留学?国際交流


本学の中福在线,连环夺宝にはウクライナ人留学生が在籍しています。

昨年4月に入学したものの、新型コロナウィルス感染症による政府の水際対策により、
母国にとどまって、オンラインの授業を受講していました。

そのウクライナで、2月24日、戦争が勃発しました。

そこから約2週間後の3月9日。彼女は日本の土を踏みました。
 

戦火から逃れて -ポーランド国境までの過酷で遠い道のり-

ロシア軍によるウクライナへの侵攻開始直後、
彼女は、一人祖国から離れ、渡日を決意しました。

隣国ポーランドへと向かう道は、避難する車と人で埋めつくされ、
1日に5kmほどしか進まないこともあったといいます。
国境まで約10キロ、最後は徒歩で国境へと向かいました。

ようやく到着した国境の街は、やはり、ウクライナから避難する人々でごった返していました。
降りしきる雪の中で、足の感覚が麻痺するほどの寒さに耐えながら、検問と審査の順番を待ちました。



そして、やがて、彼女からの連絡が途絶えました。
 

国境を越えてポーランドへ、そして日本へ


彼女が恐怖と寒さと格闘していた時、本学の教職員も祈るような気持ちで彼女からの連絡を待ちました。
そして、「先生!国境を越えました!ポーランドに着きました!」という文字と、
その瞬間に彼女が見たポーランドの空の写真が送られてきました。



時計を見ると、深夜1時(日本時間)。
「これから並びます」と伝えてきた最後のメールから、すでに8時間が経過していました。
 
その後、彼女はポーランド在住の友人の協力を得ながら、
在ポーランド日本大使館でビザを取得するなど、日本入国のためのすべての準備を終えて、
関西国際空港行きの便へと乗り込みました。

彼女がウクライナの家を発ってから、すでに12日が経過していました。
 

日本到着 -笑顔、そして笑顔-


空港の到着ゲート。
ウクライナの国旗のサインと花束を手にした本学の教職員を見つけると、
大きく明るい笑顔で応えてくれました。
そして、「少しだけ疲れました。でも、日本に来られてよかった」と。

平凡でいて、なのに、何にも代えがたい会話が交わされます。
この他愛もない会話こそが「彼女が無事日本に着いた」という事実を実感させてくれます。
 
一通りのあいさつや会話が終わり、彼女が口を開きました。

「私の祖国ウクライナは大変な状況になっています。
この状況を一人でも多くの人々に伝え、知ってもらいたいです。」
 
そこにいた全員が、その言葉の重さを噛みしめました。
 
祖国ウクライナから、遥か8,000キロ。
この4月から彼女は、大阪で大学生活を送ります。
 

ウクライナ人留学生からのメッセージ



今回、彼女は「学友たちにもウクライナの置かれている現状を知って欲しい」という思いから、
本学の学生に向けて短いメッセージを書いてくれました。
以下、その全文を掲載します。
 

学友のみなさんへ

ロシアがウクライナを侵攻するなどということが、
まさかこの21世紀に起こるとは思いませんでした。

しかし、ウクライナ人は強く、母国を愛する国民です。
必ずこの困難に打ち勝ち、平和を取り戻します。
みなさんもぜひ一緒にウクライナの平和を祈ってください。

私はこれからの大学生活で、友達をたくさん作りたいです。
一緒に楽しく勉強やクラブ活動をしましょう!
よろしくお願いします!



※3月25日(金)追記