2022.07.11 トピックス 【法学部】公務員特別演習Ⅰで「しおんじやま古墳学習館」を訪問 教育?研究

 皆さんは全国に古墳がどのくらいあるかご存知ですか?
 その数なんと約15万基と言われており、この数は全国のコンビニの数の約3倍にあたります。
 本学花岡キャンパスのすぐ近くに「しおんじやま古墳」があります。国指定史跡で、5世紀前半、古墳時代中期に造られた全国62位の大きさとなる全長160mの前方後円墳で中河内の豪族が葬られていると考えられています。
 
 公務員特別演習Ⅰは、一般行政職の公務員には何が求められるかを理解すること、公務労働の基本について学ぶことを目的とした少人数の演習授業です。
 今回紹介する6/30(木)の授業は、文化観光とは何かをテーマに、NPO法人が市の公共施設を実際にどのように運営しているかを学ぶため実施されました。NPO法人「楽古」が管理?運営する八尾市立しおんじやま古墳学習館を訪問し、法人代表を務め、学習館の館長として勤務されている福田和浩さんから、しおんじやま古墳の概要と学習館の管理?運営についてお話を伺いました。
 

しおんじやま古墳学習館の取り組みから学ぶ地域活性化事業




 しおんじやま古墳学習館には、埴輪(はにわ)などの出土遺物や埋葬施設の模型などがある展示室と、フリースペースのガイダンスホール、図書コーナーなどがあります。古墳の範囲は約30,000平方メートルと広大ですが、学習館自体は400平方メートル程度で、スタッフは通常2~3名の小規模な博物館です。2005年4月に開館し、開館当初から指定管理制度が導入され、福田さんの「楽古」が管理運営しています。「楽古」は2001年に設立、2003年に法人となったNPOで、公民館やイベントなど様々な場所に歴史をテーマとした体験学習を提供する活動をされており、福田さんはこれを活かして学習館での事業に取り組まれています。
 まず一つは勾玉(まがたま)づくりやミニ埴輪ストラップ作りを体験できる常設コーナーの設置です。ガイダンスホールの一角に事務机を二つ並べ、体験で使用する水もトイレや屋外の水飲み場を使用し、その場でできる工夫でコーナーを設置しました。そのほかにも講演会の実施にも取り組まれており、子供向けの埴輪づくり講座や、古墳や考古学、地域の歴史に関する講演会を日程や時間等、開催形態を柔軟に修正しながら実施されてきたとのこと。現在ではYouTubeを利用したオンライン配信にも取り組むなど、情報発信を積極的に行われています。
 ほかにも、様々な人と連携して新たな事業に取り組まれています。例えば、地元の旅行会社と協力し、八尾空港で実施されているセスナ機での遊覧飛行を活用して大阪の巨大古墳を上空から見学するツアーを企画、開催されています。例えば、このツアーの参加者のために用意した昼食は、市の観光担当課から紹介してもらったお店と共同開発した「古墳懐石弁当」を用意するというように参加者の好奇心を刺激する企画を実施しています。年1回程度、20名ほどの定員で実施しており、関東など遠方からの参加者もいるほどの人気企画となっています。これ以外の取り組みとして、地元の企業や市民がデザインしたミュージアムグッズを販売することなども行い、来場者に人気のグッズとなっています。小さな博物館では、人員はもちろん、得意分野も限られてきます。そのため、これらのように様々な人と連携することを大切にし、新たな魅力を作る取り組みを実施していると福田さんからお話がありました。
 
 今回紹介した福田さんの取り組みはほんの一部ではありますが、小さい施設であるメリットを活かした臨機応変な対応や偶然訪れたチャンスや出会いを逃さないスピード感で連携事業を進めることで、年々学習館の来場者を増加させています。また、事業を進めるうえで、その根底には「八尾のことをもっと多くの人に知ってもらいたい、八尾をもっと盛り上げたい」という思いがあります。将来一般行政職の公務員となって地域活性化事業に従事する可能性がある学生たちにとって、このような考え、思いが心に残る演習となったと感じました。

<しおんじやま古墳学習館 HP>
https://racco-taiken.com/sionji/